その時彼がポケットから手のひらサイズのペンを取り出すと、そのペンに挟んでいた小さなメモ用紙にサラサラっと何かを書いたあと、私の方へと差し出した。


キレイに折り畳まれたメモ紙。



私がそれを受けとると、彼は流れるような動作で椅子から立ち上がり、「じゃあね。」とだけ言い残して去って行った。



私は呆気にとられたまま動けなくなっていたが、夕方5時を知らせる音楽で我に返り、慌てて片付けを始めた。





駐輪場に置いていた自転車のカゴに借りた本を入れて、ポケットから例のメモ紙を取り出した。


丁寧に折られた紙を開くと、そこには携帯番号らしいものと・・一言。



『ドクロはキミを見つけた』。




メモ紙のイラストは、不敵に笑うドクロ。



私はすぐにでも公衆電話まで走ってしまいそうだった。
しかし私の何かがそれを思いとどまらせたのだ。



でもきっと、私はすぐに彼に会ってしまうのだろう・・・。