ケータイ小説 野いちご

眠れないほど好き【短編】

あ、そっか。

大事な用事ってそのカノジョに電話でもするのかも……。



そう考えるとため息が出た。

はたと思考が止まる。

そして。


何、このため息?


内心でつぶやいた。



やっぱり取り残された気分。

まあ、どうでもいい。

すぐにいなくなるんだし。



本社に出張することはあるけれど、よほどの偶然ですれ違わないかぎり、唐沢と会うことはない。

せめて夢見る志穂のお手伝いでもしようか。

そう思ったわたしが席を空けるより早く。


「じゃ市羽さん、あとで」


と、唐沢は意味不明な言葉をかけて席を立った。



「やっぱり、唐沢代行と市羽さんて何かあるんだ」



ぽかんとした間抜けな顔のまま、唐沢の背中から志穂に目を移した。

むっつりした志穂の発言もまた意味不明だ。



「……やっぱり?」

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