ケータイ小説 野いちご

眠れないほど好き【短編】

おまけにいまの姿勢は褒められたものじゃない。

あぐらを掻いて片肘をテーブルについて、躰はまるっきりこっちを向いている。

部下たちに格好がつかないんじゃないだろうか。

いや、こんな恰好でも唐沢はなぜか様になっている。


最初の唐沢の印象はいかにもエリートっぽくて冷ややか。

仕事をしていくうちに、バリバリのやり手でも驕りがなければ礼儀も欠いていない完璧型人間とわかった。

真面目に超をつけてもおかしくないくらい品行方正だ。お酒の席でも乱れない。


さっき一緒に来たときだって至ってスマートだったのに、いま、目のまえにいる唐沢はまったくイメージが違っている。



ほんの数年まえの二十歳前後、わたしは中学時代の友だちに誘われてよく一夜限りのお遊びをしていた。

いや、いかがわしい遊びじゃなくて、とある場所に行くと出会いを求める男女それぞれのグループが集まっていて、意気投合したら朝までドライヴ、なんてことをしたり。

単なる暇つぶしみたいなもの。

物騒な世のなかだけど、危ない目に遭ったことはない。



いまの唐沢はそんな男たちと同じくらい軟派に見える。


わたしが思わず躰を引くと、唐沢はにやりとした。

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