レジへ向かう途中、別の新書コーナーも見てみるが、今日はこれ以上目新しいものは見つかりそうにないな。とまたレジへの道を進んだ。
レジには「長岡さん」という、やせっぽちなおばさんが少しダルそうにレジをうっていた。
「長岡さん」はこちらに一瞥もくれる事なく事務的に作業を進め、最後に「ありがとうございました。」と思ってもいない言葉をくれた。
私は禁断の果実を受けとると、見てもいないだろう「長岡さん」にペコっと頭を下げ、天国を後にした・・・。
外はひんやりと冷たく、途端に帰りの道のりを考えると自転車に股がる事さえ嫌になってきた。
しかし手にぶら下がる紺色のビニール袋の中身が、私の「帰りたくない心」をあと押しし、私は渋々自転車に乗った。
その時ふと、本屋の外壁に《急募》と書かれた本屋のアルバイト募集チラシがある事に気づいた。
こんな遠くで働く気はなかったがそのいかにも手書きのチラシが、気になっていた・・・