(誰か、いる!!)


心臓がゴトンと鳴って、それでも起きたことを気づかせないように、寝返りを打つふりをして音のするほうに自然に身体を向けた。

相手は蒼が目を覚ましたことに気付いていない。

そのままゆっくりと蒼の側に近づいてくる。


(また黒い鎧の男……?)


薄目を開けてその影の様子を見守っていたが、ふいに柔らかな花の香りが蒼の鼻をくすぐった。



(この香り……)