「いきなり殴るなよな」


殴られた頭を押さえながら、美佳に訴える。



「なんとなく、殴りたかったのよ」


「意味ないのかよ……ったく、これだから男が寄りつかないんだよなお前は」


「もう一回殴るわよ?」


手がすでにグーになってますが、美佳さん。
てか、こんな事している場合じゃなかった。



「ってか、俺忙しいから後にして、じゃーな」



俺は靴を履いて、美佳に手を挙げる。



「お兄さんのところ?」


「そうだけど?」



俺は立ち止まり、再度美佳のところを振りかえる。



「一緒に行っていい?」



俺はまた前に向き直り、歩き始めた。



「好きにしろ」