『今回の悪霊は、力が弱かったから彼は“あの程度で済んで、貴方も助かったのよ”

でなければ、貴方たちはあの世行きよ』


メリーは低い声で言い続け、強い眼差しで陽一を見つめる。


それと同時に、風が吹く。陽一とメリーの間を荒々しい風がなびく。


その風はまるで、陽一を責め立てるかのように冷たく荒々しく吹き続けた。


『貴方は、もう普通の人間じゃないの。悪霊から見れば、貴方は“餌”』


メリーの言っていることに間違いは一つもなく、現実に真実を見ているので、陽一は悔しくて手に拳をつくり握りしめた。



『明日、お昼頃に貴方の家に行くわ。その時に説明をするわ。“これからどうしていけばいいのかを”。それまでは、家から出ないこと』


「……わかった。お前の忠告を聞かなくて悪かった。それと、助けてくれてありがとな」


陽一は、自分の不甲斐なさを感じつつ、助けてくれたメリーに礼を言う。


『……今日は帰りましょ。それから、小さいけれども霊結石を持ってきたわ。貴方の自転車のカゴに入れておいたから』


「ありがとう。助かる」


陽一は自転車に乗り、家にかえる。メリーは、上空から陽一の後をついて行く。


言い過ぎたな…。


メリーは反省をした。陽一を護りたいと思っているからこそ、厳しくキツい言葉を言ってしまった。


とにかく、報告しないと。手遅れになる前に…!


メリーは、陽一の背中を見つめながら固く決意をする。