私の言葉を聞くと、たちまち警備員の顔がゆるんで行った。


「あ~~~!!確かに今日から転校生が来るって聞いてるよ!名前は…………」


「アユ=トヨフ………じゃない」


ハッとして、慌てて口を手で覆う。


違う違う。


いきなり間違えちゃう所だった!!


「と…豊平 亜遊《とよひら あゆ》です!!」


今日の為に頭に入れた名前を、笑顔で警備員に告げた。


「ハイハイ、豊平さんね。先生が職員室で待ってると思うから、どうぞ」


警備員がキィ…っと門を開けてくれたので、私は勢い良く学校の敷地内に足を踏み入れた。