「多江さんが死んだの、あたしのせいだ…」

そう言った途端、達郎兄ちゃんの胸板があたしの顔に押しつけられた。

達郎兄ちゃんが、あたしを抱き寄せたと理解するのに、時間はかからなかった。

「馬鹿を言うな、カホ」

頭の上で、達郎兄ちゃんの優しい声が響く。

「カホのせいで多江さんが自殺したなんて、そんなワケあるか」

「でも…」

「それに言っただろ。本当に多江さんが自殺したと思うか、ってな」

確かに達郎兄ちゃんはそう言った。

「じゃあ、多江さんはなぜ死んだの?」

「今、それを調べてるんだよ」

達郎兄ちゃんはあたしの頭を撫でた。

「だからまだ今は泣くな、カホ」

「無理…」

あたしは達郎兄ちゃんの胸に顔をうずめながら、首を振った。

「この状況でいい子いい子されたら、よけい泣く…」

すると、頭の上で達郎兄ちゃんは笑った。

「鼻水はつけるなよ」

…達郎兄ちゃんのバカ。