行き先は……

そう、海がいいかもしれない。

あたしは、左手に視線を落とす。

巻かれているのは赤いベルトの腕時計。

四年前、ディズニーランドで母が買ってくれたミニーマウスの腕時計。


もうすぐ、16才になる身にしては、少し甘ったるい。


でも、宝物だ。

ミニーの腕が数字を指して、奇妙な角度に交差している。


そのポーズが可愛くて、自然に頬が緩む。