「……先輩」


「………」



…応答なし。


先輩は寝つきがいいのか、すでに眠っているようだ。


おやすみ三秒にもほどがあるんじゃないか。



「……はぁ…」



小さく息をはいてから、鞄の中に入っている自分のブレザーを取り出す。



「…風邪ひきますよ」



そしてシャツ一枚で眠っている先輩にそれをかけてあげる。

先輩は気持ちよさそうに、少し口元を緩めながらすやすやと寝ている。



「…他の女子にこんなのしてもらってちゃ、ダメじゃないですか」


ぼそっと呟いてみても、先輩には聞こえるはずがない。



「………」



…あぁ、やっぱり…



先輩の恋は前途多難だ。