「何よ朝っぱらから。」


母の険しい顔に反して、私の顔はきっと情けないことになっているはず。

だって、ここ最近口を開けば結婚!結婚!
いい加減うんざりだ。



「だって周りは皆可愛い孫の話ばっかりで…

ママもおばあちゃんになりたいの!」



そう…ようはこの人孫が欲しいのよ。



「そのうちするわよ。」



素っ気なく返事をすると、残っていたコーヒーを飲み干し席を立つ。



「あんたのそのうちは聞き飽きたわぁ。」



「ママの結婚は?もね。」



ご機嫌ななめなママを放ってリビングを後にする。

玄関に無造作に置いた鞄をもち、ヒールを履けば颯爽と家を後にする。


肌寒いくらいの風が気持ち良い。