ということで、皆で行くことになったもんだから、いつも高級車がバージョンアップ。

なにがレベルアップしてるかっていうと、後部座席が向かい合うように取り付けてあるんだ。

漫画のような車が俺の前に見参するとか、どんだけ先輩の家はお金持ちなのだろう。


改めて考えさせられる。


川島先輩と一緒に呆気取られていたんだけど、某お嬢様や御曹司はさほど珍しくもないようで、車にさっさと乗り込んでいた。


さすがはお金持ちの嬢ちゃん坊ちゃんだよなぁ。

運転手の田中さんに挨拶をして、庶民の俺達も車に乗り込む。
 

運転側の後部席から順に宇津木先輩、川島先輩、大雅先輩。向かい側の席に鈴理先輩、俺で腰掛けた。


うわぁ、シートもフカフカ。
座り心地バツグンっ…、なんだか太腿に違和感。

いやもう理由は分かってるんっすけどね。

俺は眉根をつり上げて、隣に視線を流す。


そこには俺の太腿をお触りお触りしている彼女の姿。


「先輩…」何しているのだと聞けば、

「スキンシップだ」満面の笑顔を作る鈴理先輩。
  
 
「空の太腿がな、あたしに触られたそうにしていたんだ。まったく、あたしを誘ってくるなんて悪い太腿っ…、むっ。空、何をする?」

「ははっ。なにって悪いおててを封じてるんっすよ? めっすよ、めっ」
 
 
しっかり先輩と手を繋いで、「お触りは我慢しましょうね」引き攣り顔で直談判。

「論外だ!」

今だって我慢しまくっているのだぞ、と先輩。

空いてる手で俺を指差し、ブンブンと上下に振ってこれ以上我慢させてどうすると喚き始めた。

焦らしプレイはもう沢山だとか言ってくれるけど、普段から俺を好き勝手にしてるじゃアーリマセンカ!

そりゃあキス以上のことはNGだって言って全力で逃げてはいるけれど、結構貴方様の我が儘にお付き合いしているつもりなんっすけどね俺!

男の自尊心ズタボロ覚悟で、おにゃのこポジションに立ってるじゃないっすか!


何が不服っすかぁああ!


俺の訴えに先輩は、キリッとした顔を作った。