「たか……く…」



咲子の元へ駆け寄り、抱き起こすと、彼女の体からは鮮血が流れていた。



「何でっ…」



「私…知ってた…。」



「え…?」



「何でか分かんないけど…この未来を知ってた…。」



「もうっ…喋んなっ…。」



隆史が涙ながらに言うと、咲子はフッと笑った。



「今…言わないでどうするの…?
私…死ぬかもしれないのに…。」



「馬鹿言うなよ…。
咲子が…死ぬ訳…」



そっと隆史の頬に触れる。



「どんな未来が待ってても…何度 同じ状況に立ったとしても…。
きっと、私は貴方を守った。」



女神のように微笑んだ後、咲子の手はパタリと落ちた。



「咲子…?咲子…!
なぁって!咲子!!!」



咲子の上に崩おれながら、隆史はひたすらに願った。



運命を、変えてくれと。



運命を、元に戻してくれと。



もう一度、最初からやり直させてくれと…。