「お前、前に言ってたよな。入学式で出会った子が好きだって」



「なんで今その話すんだよ」


「橘もだよ。橘も、入学式で出会った奴に、今でも片想いしてんだって」



「そんなの!!そんなの、俺かどうかなんて…」




「お前だよ」


今まで一度も見たことないような大陽の真剣な顔。


そんなこと、急に言われたって。



「お前、橘と付き合うんじゃねぇの?」

「断られたに決まってんじゃん。花音を傷つける前に、別れたほうがいいよ」


「なに言ってんだよ。花音から俺がいなくなったら、アイツは一人になるんだぞ?花音とは、離れるわけにはいかない」



「……あぁそうかよ。最悪だよ、今の結斗」



大陽がここからいなくなって、無性に腹がたった。


俺に花音と別れろ?


馬鹿もたいがいにしろ。

対人関係が上手くつくれない花音は、ちゃんとした友達もいない。


……本当に、俺しか頼れる奴いない。



おかあさんもおとうさんも亡くなって、遠い親戚の家で存在を消してる。


だから、俺が花音と一緒にいる。