なぁ、博子。

俺たちはどうして
また出逢ってしまったんだろうな。

あの時、肩がぶつかっていなければ、
俺たちは何事もなく
それぞれの道を歩んでいたはずだ。

それなのに…

博子、おまえ、運命を信じるか?

俺は…どうかな、わからない。

運命であろうとなかろうと、
俺たちが再会したことで、
15年前に止まったはずの
あの時間が
あの想いが
動き始めたことは、紛れもない事実だ。

いいか、博子。

俺は組織の人間だ。

心に染まないこともやらねばならない。

俺たちの間に
たとえ偶然に細い道ができたとしても、
決して行き来することはできないんだ。

あまりにも世界が違いすぎる。

光と闇。
日向と日陰。

許してくれ…

まぶしく輝く世界に生きるおまえに

俺は闇の世界から

今、この穢れた触手を伸ばす…