改札をくぐり、手を振ったまま明るく電車に乗り込む舞。

彼女の姿を見つめ、テルオは眉間にシワを寄せて立ちつくしていた。

・・・ガシャ・・・。

電車のドアが、ゆっくりと閉まり・・・ゆっくりと動きだす。

舞は、うつむいたまま歯を食いしばり・・・あふれだす涙を頬に流さないように耐えた。

・・・美衣子が羨ましい、美衣子になりたい。

・・・あたしも好きやのに。

電車のドア際で、舞は自分の想いを精一杯押し殺した。