「女一人で夜遅くに制服でフラフラすんなって」


「あなただって制服じゃん」


「俺は男」


「……――っ」


言い返す言葉が見つからずに黙り込むと、彼はニッと勝ち誇った笑みを浮かべた。



「つーか俺、あなたって名前じゃなくて優輝って名前だから。秋川優輝。で、今からどこに行くんだよ」


「すぐそこまで」


「すぐそこってどこだよ」


「だから、ここから歩いて10分くらいの場所に行くだけなの」


「へぇ……。それなら俺もついて行ってやるよ」


「大丈夫。一人で行けるから」


「……――ったく。意地っ張り女」


「……はい!?何!?今、何か言った!?」


「別に」


ボソッと呆れたように呟いた優輝。


「……――分かった!!そんなに言うなら一緒に行こう」


どうしてこんなことになってるのか、自分でもよく分からない。


ただ、『意地っ張り女』という言葉にムッとして。


売り言葉に買い言葉。


あたしは数十分前に出会ったばかりの優輝と一緒にある場所へ向かった。