確か後部座席に傘が転がっていたはず……。


上半身だけ後部座席に向けた。


車の床に転がっている茶色の傘が見えた。


それを拾い上げると傘を助手席に置いて、エンジンを切った。


助手席に置いた傘と鞄を持つと車から降りた。


エアコンの効いた暖かい車内から12月の冷たい風が吹き荒れる中に出た瞬間、体がブルッと震えた。


おまけに土砂降りの雨が、傘をさしていても容赦なく肩やズボンの裾を濡らして寒さを倍増させる。


早く部屋に入って熱い風呂に入ろう。


俺は急ぎ足で自分の部屋を目指した。