「もちろん婦長さんには口止めを頼んだ」

婦長さんはあたしにメールの送り主の正体については話さなかった。

多江さんのことを考えた結果だろう。

「だから旭さんも、口外はしないでほしい」

和夫さんはもう一度、念を押すように言った。

「わかりました」

あたしはうなずいた。

うなずきながらも、脳裏には達郎兄ちゃんの顔が浮かんでいた。