ケータイ小説 野いちご

君を探して

そのとき、携帯が鳴った。

ヤマタロからの着信だ。

私が電話にでると、ヤマタロの明るい声が聞こえてきた。

「深月? 今、隣にいるんだけど、ちょっと顔出せない?」

隣っていうのは、もちろん陽人の家。

どうやら想像した通り、落ち込んでいる陽人をヤマタロがフォローしているらしい。

「でも……私、パジャマだし、すっぴんだし」

「誰もそんなの気にしないって」

……ムカツク。

いくら陽人やヤマタロとはいえ、パジャマ姿やすっぴんを見られるのには抵抗がある。

それが乙女心って言うものだ。

「いいから顔出してよ。陽人が落ち込んじゃってて、俺だけじゃどうにもならないんだって」

なんで私が陽人を慰めないといけないんだろう?

凹んでるのは私の方だって言うの!

でも、陽人のことが気になるのは確かだ。

仕方ないなぁ……。

「じゃあ、少しだけね」

「助かるよ」

……ヤレヤレ。

私は鏡をチラッと見て、手ぐしでささっと髪を整えた。

鏡に映った自分の色気ない姿に少し悩んだけど、やっぱり今から着替えるのは面倒くさい。

「……まぁいいか、あいつらだけだし」

そうつぶやいて、パジャマの上にカーディガンをはおった。

乙女心はどこに行ったの? ……なんて独り言を言いながら。

< 57/ 308 >