まあ、もうとっくにびしょ濡れ。 こうなったら、5分も10分もあんまり変わらないな、とぼくは観念する。 そして、雨を浴びながらも幸せそうな色をして咲く、ベンチ横に並んだアジサイの真似をして、 「美里……」 左手の傘を放り投げて、両手で強く、強く美里を抱きしめた――。 ――Fin...