ぼくは、何度も、何度も何度も何度も、壁やソファーに怒りをぶつけた。 意味をなさない言葉をはきながら、起こした頭痛も構わず、延々と。 そして。 気づけば昇りかけていた陽は沈み、入れ替わった月も薄まり、雨音が耳に届いてきた。 「朝……か」 窓の方に目をやると、外は土砂降り。 この日は「6月10日」で、くしくも亜紀の命日だった。