「何を言ってる。わしはお前を強く育て上げるために、“仕方なく”不意討ちをしてるだけだ」
「うそつけッ!勝って喜んでたくせに!」

陽一は、睨みつけながら武志に抗議する。昔から、武志は幼い陽一に対して問答無用で不意打ちをしかける。

不意打ちをしては、勝って喜ぶ武志の姿を見て、毎回陽一は悔しがっていた。

陽一が、負けず嫌いになったのはそれが原因である。

「なんだ?!その言い草は?!なら、今からお前に伝授をしよう。
お前がこの歳になるのを待っていた。今のお前なら使いこなせる。織原家に代々伝わる、この最強の必殺技を。いくぞ!織原流儀剣-ガフ!」

武志が叫びながら、攻撃をしかける。が、言い終わる前に陽一が間一髪に面をいれた。

「陽一!お前は、いつからそんな卑怯なマネをするようになったんだ?!わしは悲しいぞッ!」

武志は、面を受けた頭を撫でながら嘘泣きをする。

「うるせぇー!あんたに言われたくない!長いんだよッ!てか、なんだよ織原流儀剣って?!今思いつきで創ったろッ!」

どう考えても聞いた事がない胡散臭い技に、武志への不信感がさらに積もる。