「知り合いですか?」



歩斗が中町に訊ねた。

ほっとけば良いのに。



「教え子です。まぁ、俺が狙う最高の女でもありますけど」



真顔で立ち尽くす私を見て、大木さんが「お客さんの前だ」と、中町を黙らせようとしてくれた。

無意味だけど。



「お客さんは俺のキャラではなく、技量を求めて来てますから大丈夫です」



「……」



相手にしても面倒だ。

私は中町の評価に“△”を付けてやった。

【技術に問題なし。ありなのは性格】と、ズバリ書いてあげた。



「先日ファックスしたアルバイトの人たちへの接客指導は徹底してますか?」



ファイルと大木さんの顔を交互に見る。

大木さんは「接客の心得のプリントを基に指導してます」と頷いた。