「一刻も早く長州に戻らねばならん。」



ほんとこいつは祇園祭の話をしたかと思えば、

池田屋の事件の話やらにコロコロと話題を変えやがって…



言いたいことがいまいち上手く伝えられんのは高杉の悪いところだ。



「だが…今宵は祭だ。」



キセルを口から外し、少し興奮気味で高杉は言う。


全く…

仕方のないやつだな。



「もう一夜だけ、ここで泊まればよいだろう?」


私がそう口にすると高杉はキラキラと目を輝かせた。



「お前がそう言うなら仕方ない…」


あいつは口元の緩みを隠すようにもう一度キセルをくわえた。



結局は祭に行きたかったんだな…