時刻は午後7時。 「おはようございまーす」 この時間から、この挨拶。 もう慣れたものだ。 ホステスを始めて、もう一年と少し。 辻村沙紀、二十歳。 関西の田舎からこの街に進学してきて、すぐに始めたのがこの仕事だった。 「彩音さん、おはよう」 彩音、とも呼ばれ慣れた。 ロッカーの鍵をもらいに裏に回ると、店長の相川さんが笑いかけてくれた。 彼が、あたしの好きな人だ。