「だって…あたしの話も聞いてくれたし…それに今日も店まで送ってくれたし…それに…」


「そんなの優しさなんかじゃねぇよ。ただの同情だし…ホストなんかの言葉、簡単に信じるなよ」





俺が女に優しくなんか出来るはずが無い。




ホストだったら幾らでも嘘の言葉並べられるし優しいフリだって平気で出来る。





だから仕事の時と同じ様に全て嘘で、いつもの様に優しいフリをしてるだけだ…そう心に言い聞かせていた。






でも莉奈は俺自身さえも知らなかった心の奥までもを見透かしていた。





「凌…お願いだから、そんな風に言わないで。あたしは、凌の優しさ…嘘だなんて思えないよ…」




涙声で話しながら俺の体に抱き着く莉奈に…さっきまでの考えが一気に飛んだ。






たぶん俺は今まで莉奈の為にしてきた事や莉奈に掛けた言葉が全て嘘だと思っていたかっただけだった。






ずっと俺は優しさなんてものを持っていないと…本当の優しさなんてこの世に無いと思っていたから。





ただ信じたくないだけだった。