俺の部屋は全て黒で統一されたせいなのか、莉奈の姿が際立って見えた。





周りの人間達は当然ながら既に眠っている様な夜更けの時刻。





さっきまで騒がしい歓楽街に居たからなのか、部屋の中がやけに静かな様に思えた。





静かにゆっくりとした時が流れていく様な空間で――…




「なぁ、これ…どうした?」





莉奈の腕にある痛々しい痣を指さしながら訊ねてみた。





隠しきれず傷みを訴えるその傷痕を見るだけで…とても聞かずにはいられ無かった。






莉奈は黙り込んだまま、腕にある無数の痣を手で撫でながら言葉を探している様だった。





まさか俺にそんなことを聞かれるとは思って無かったのだろうか。





そもそも俺なんかが聞くべき事じゃ無いのかもしれない。きっと莉奈にとっても隠しておきたかった事だっただろう。






例えそうであってもただ黙って見て見ぬフリなんか俺には出来なかった。