糸を巻き付け木に縛りあげた。






「そこで儀式を見てなさい。」






「やめろ!」






「あら、アキラの獲物だったの?でも私の糸にかかったら私のもの…。私は300歳になる。若い男の血を貰う。さらなる力を得るため…。この子の血を貰う。」






あがくと体液が落ちる。





「やめなさいアキラ。この子は…。多少なりと力があるわね。目覚める前に私が食べるわ。たとえアキラの獲物でも…。」





「アヤラ…。」






紅い瞳は揺れた。
「何故血を飲んでいない?!死にたいの!」






「しない…。お前と違う。」





「なら…。私がこの手で…。儀式の後で。」






アヤラは影からさゆりを連れてきた。さゆりの意識はない。
もがいた…。体液が木に滴る。
「さゆり…。」






紅い瞳は輝き、牙が…。さゆりの白い首にゆっくり射し込まれる。
体は震え、さゆりの目が開く。








なんか痛いよ。でも気持ちいいような…。
声が出ない。ここどこだっけ…。体がなんていうか痺れてるしだるいや…。なんか眠い。学校行かないと…。






ゆっくり目を開ける。
まだ暗い…。
目の前に…。緑の瞳…。血だまり…。






「!」
声は出なかった。






紅い瞳に牙が見えた。
「悲鳴もご馳走だけど今はなしよ。」