真っ黒のスーツを身に纏い髪を軽く整えさえすれば誰でもホストらしい姿になる。
鏡に映る俺は…いつも通り何の狂いも無い琉依の姿となっていた。
ソファーに座り煙草を佗えながら大量に貯まっていたメールに軽く目を通した。
毎回同じ様な内容のメールの全てが客から送られてくるものだった。
その全てに返事をしなければならない事に毎日嫌気がさしていた。
メールの返信を途中で諦めて携帯を放置したまま、カーテンを開けて窓の外の景色に目を向けた。
狭い道路を忙しく行き交う車たちを夕陽が優しい暖色に染めていた。
もう少しで夜へと変わるこの夕陽を見る瞬間が俺にとってはただ憂鬱なものでしか無かった。