「先生が……」


教室に、ポツリとそんな女の子の声が響く。


「先生が、真面目になってるーーー!!」


ある女の子の大声が、それはそれは響き渡った。


確かに、今日の倉本先生は真面目だ。

かなり真面目だ。

ああ、それは真面目だ。


いつもとは違いスーツはピシッと着てるし、ネクタイまでしている始末。

そして、教科書とノートをだせと先生は言った。

いつもプリントですます先生が、教科書とノートなんて単語を使うなんて……!


「なにポカーンとしてんだ?」


先生は不思議そうに、教室中を見渡す。


「ほら、さっさと教科書とノート出せっつってんだろ?」

「いや、あの先生」


一人の生徒が手を上げた。