ポケモンというゲームは睡魔の魔力を持っている。物語を進めるのはいいが、レベルあげ、しかもか、通な帝は努力値あげに励むという単純作業をしていた。


DS持ちながら、部屋で寝たはずだった。現に、記憶最後の服装――中学の制服でいる。ちなみに、DSは落ちていない。


「やっべ、セーブしてねえぇぇ」


DSのバッテリーがなくなるのは滅多にないが、もしもがある。ああ、このままでは費やした時間がパーになると帝は頭を抱えた。


「ゆめえぇぇ、夢なら覚めやがれっ」


彼の中では、この見知らぬ土地を夢とまとめたらしい。


だってそうだろう。夢じゃなければなんだと言うのだ。家にいて見知らぬ誰かに連れてこられようにもかーちゃんがいるし、自分が帰ったのは確か夕方だ。景色を見るからに、辺りは昼間になっている。まさか半日も眠り続けるわけがない。