そう言った園子に、
「はっ?」

千広は声をひっくり返した。

「だから、戸籍を変えるのよ。

千広の戸籍を違う人に、要は違う人と夫婦にさせるの」

園子のアイデアに、
「…そんなこと、できるの?」

今度は千広が困る番だ。

「あのさ、わたしがどこに勤めてると思ってんの?」

「…役所?」

だから、どうした?

役所に勤めている、それがどうした。

「役所に勤めてるお役人なら、それくらい簡単よ。

そうね、お相手は1人暮らしの身寄りがいないおばあちゃんがベストかな」

フンフンと鼻歌を歌う園子に、千広は何も言えなかった。