「弁護士!?」

その電話に、園子は思わず声をあげて聞き返した。

彼女の周りで仕事をしていた上司や同僚が何事かと視線を向けてきた。

園子はすみませんと小さく謝ると、電話に集中した。

「探偵の知りあいがいるなら弁護士の知りあいくらいいるでしょ!?

特に砂野さんなんて、そこら辺にコネがあってもおかしくないと思うんだけど!」

電話越しであまりにも真剣に言う千広に、園子は笑えなかった。

むしろ、困った。

昼下がりに突然かかってきた電話に手が離せない上司に代わって出てみたら、千広だった。

そして、この状況である。

「あんな男、話にならないんだもん。

弁護士相手だったらさすがに焦るんじゃないかしら。

焦って離婚してくれるんじゃないかしら」

よく計算されていると、園子は思った。