「傷つくのは、あなただって一緒のはずです。

あなただってバツがつきます、だから離婚してください!」

あまりにも真剣過ぎて、言葉が浮かばない。

陽平は笑ってごまかした。

離婚のためなら、プライドだって捨てるってか。

(よくやるもんだな…)

自分もあの時にプライドを捨てて、立ち向かっていけたらどうなっていたのだろうか?

今とは違う未来を迎えていただろうか?

後悔して、思い出しても仕方がない。

それに、終わったはずだ。

自分の中でも、周りでも、もう終わったはずだ。

そう言い聞かせて、
「じゃあな、ヒロ」

陽平は背中を見せた。

「ちょっ…!」

まだ言い足りないと言う、千広の声が聞こえた。