ほんの数時間だけ眠った後、部屋の壁に掛かってある時計が示す時刻を確認した。
まだ仕事まで充分な時間はあったけどこれ以上ここに居る意味も無く…ベッドの上からゆっくりと起き上がった。
俺が眠っていたベッドの上には女が気持ちよさそうに穏やかな表情のまま眠っていた。
ベッドの上に軽く腰掛けながら煙草に火を点けてため息と共に煙を吐いた。
毎日、目が覚める度に思う。
俺は一体何をやってるんだ…と。
仕事でも仕事以外でも女を騙して女を喜ばせる様な嘘をついて…
結局俺には何も残らないのに何故意味も無い事を繰り返してしまうのか。
再び深いため息を吐いた後、床の上に雑に脱ぎ置かれているスーツやワイシャツを拾い上げて素早く着替えた。
ベッドで眠ったままの女を起こさない為に物音を出来るだけ立てず静かにホテルを後にした。