「とりあえず、あがって」

「はい」

砂野に案内されるように、千広は自宅に足を踏み入れた。

彼と一緒にリビングへと向かった。

リビングにつくと、砂野が椅子を引いたので、千広はそこに腰を下ろした。

千広が座ったことを確認すると、砂野はキッチンへ向かった。

キッチンから出てきた砂野の両手には、麦茶が入ったグラスがあった。

1つを千広の前に置くと、もう1つを自分の前に置いた。

砂野は椅子に腰を下ろした。

「じゃあ、本題に入ろうか」

そう言って、砂野はテーブルのうえにクリアファイルを置いた。

「このファイルに入っている資料全てが、君が探している“周陽平”と言う人物だ」

千広はクリアファイルから資料を取り出すと、見つめた。

その資料は、履歴書のように顔写真が貼ってあった。

(やっぱり…)

顔写真を見た千広は、そう思わずにいられなかった。

赤茶色の髪に、強気な雰囲気――あの日に客としてやってきて、話しかけてきた彼だった。