ふりかえる。


わたしが欲しいのは、春色の口紅でもない。


『家族』を守る仮面でもない。












ふ、と。
















自分のからだ、すみずみまで。




春の持つ、


湿り気と


希望と


豊かさに、






包んでみたくて。














凍てついた手を、父の首にのばした。