風呂を出て、ぺたぺたと廊下を歩いてリビングに出る。

「……」

所々、置いていたものが無かったりするのは警察の方々がどこぞへと持っていっただけである。
綿貫刑事が何か言ってた。

元から広い家だったが、今はより広く感じる。

台所に向かい、冷蔵庫を開ける。

「冷飯、はっけーん」
レンジに入れて暖めている間に野菜を炒めてオカズを作る。

テーブルにご飯とオカズを置いて、椅子に座った。

「いただきます」

…うん、我ながら美味い。

…そういえば、この部屋で、父親は死んでいたんだっけ。

…むぐむぐ。
そこに嫌悪感は無い。恐怖心も。幽霊的なものはいるかもしれないけど、幽霊が絶対居る、とは思わない。

大体、いるとしたら皆が皆、死んだら幽霊になるのか?

やり残した思いを持って死んでいった人達が幽霊になる、とか聞くが、悔いなく亡くなった人達よりも明らかに悔いあって死んだ人達が多いだろ、と思う。モグモグ。


それなら何だ、幽霊になるのには条件でもいるのだろうか。

そこら辺にはいささか興味がある。ぱりぱり。

そんなわけで、人が殺された部屋でも気兼ねなく食べれる美月ちゃんでした。

あ、そういえば血痕が無い。
…あー。警察の方々がやっといてくれる、って綿貫さんが言ってたなぁ…。
ありがたいこってす。
「ご馳走さま。」

手をあわせて拝み、皿を持って台所へと移動する。