「そういえば、ジェイドは、
どうだったんだ?」

ボスが、思い出したかの様に
オーディションの結果を
問えば
居合わせたエレナ人講師の
二人も
視線を向けてくる。

「二ヶ月くらい前に、合格した
って、妹からメールが来てた。
何か、一年くらい、向こうに
住むらしいよ。
撮影は、半年ほどらしいけど。」

聞かされた情報を、そのまま
垂れ流す。

「スゴイね。アイツ。」

「って、事は・・・
一年は来ないって事じゃない?」

クリスとトニーと三人で
胸を撫で下ろす。

あんな手のやける生徒は
今後でくわす事もないだろう。




「ってか、来ないんじゃない?
もう。」

彼の目的を思い出し
私は、そう口にする。

「彼の目的は、エレナの
フィルムに出るって事よ。
それはもう、達成したんだし
次の目標立ててんじゃない?」

その性格を思い浮かべながら
新聞をたたみつつ打ち出せば



「さすが、『姉』
よく分かってんな。」




第三者の声が割り込んできて
聞き覚えのある声に、
三人同時に、声のする方向へ
バッと、身体の向きを変えた。