「それが、何も存在しないんです~。まるでもとからいなかったみたいに。」
「は?」
土方が目を見開く。
実瑠は何の話なのか、まったくついていけない。
「いきなりそこに現れた、みたいな感じなんですよ~。信じれますか?」
「・・・山崎、お前真剣に調べたのか?」
山崎の情報網で知らないことなんざ無いに等しい。
それなのに、たかが小娘一人に何も情報が入らないとは。
「部下を信じれないんですか?真剣ですよ~」
山崎は今現在ニコニコ笑っているものの、穏やかな笑顔からは何疑ってやがんだよコラ的な解説ができる。
「部下を信じれない土方さん、右手が痛いです。」
加えて実瑠はまだ血が溢れ出す右手を土方に突きつける。
畳は血だらけだ。
「・・・はぁ。山崎、こいつの手当てしてやれ。」
「了解~」