「おい!黄金の桜の真似なんかしてんじゃねーよ!!」



不意に聞こえてきた、見知らぬ女の怒鳴り声。


俺から少し離れた場所で女3人が、1人のパーカーのフードを頭にかぶった女に絡んでいる様子。


……黄金の桜?ってなんだ?


絡まれている女の顔はかぶってるフードのせいで見えないが、セーラー服の上にパーカーを羽織っているから女なんだろう。


……女同士のケンカかよ。興味ねぇ。


そう思いながらも俺の目線は、そのケンカから外れないまま。
煙草の煙が天に昇っていく。



「なんとか言えよ!お前も偽もんだろ!?」



さっきから真似だの偽もんだの……なんなわけ?



「うざ」



ギャーギャーうるさいぐらい文句を言っている女3人達。それでも聞こえて来たその声。


一際目立った、その冷めた声は。



「今、ものすごく機嫌悪いんだよね、私……」



フードをかぶった少女が言ったようだ。