お宮が、ないのだ。


先ほどまで座り込んでいた、お宮が。


そんなはずはない。お宮から出て、一歩しか進んでいない。



消え去るなんて、ありえない。





「・・・っ、とにかく、抜けよう。森から・・・」





焦った私は、無我夢中で森を駆けた。



手入れされていない長々とした包丁草が容赦なく足を切り、痛かった。



「・・・や、やっと・・・」



森を抜けた。


でも視界に入ってきたのはいつも見慣れている町並みには似ても似つかない町がそこにはあった。




「まさか、映画村の近く・・・?」



そう思えるほどに、建物は低く、木造でできている。
地面はコンクリートなんてものではなく。直の土でできている。