「あれじゃ彼女が激怒するのも当たり前でしょっ?」



顔を上げて、キッとにらみつけると、



「それが狙いだったんだけどなぁ」


「狙い?」


「まさかあんたにケガさせるとは思わなかった。ごめん」


「……ううっ」



そんな……子犬みたいな目で謝ったってごまかされないんだからねっ。



「ど、どうして怒らせるようなこと言ったわけ?」


「だから、それが狙いだったんだって」


「だからっ! 狙いってどーしてって聞いてんですっ!」


「非常口」


「非常口? え?」