「……ラミカ、これ見せるか迷ったんだけど」


「何?」



学校から帰ってくると、お母さんがあたしに新聞を手渡してきた。



「え……」



新聞の見出しを見て、心臓が大きく跳ねた。



【人身売買事件の被害者家族、元組員をナイフで刺す】




「名前は載ってないけど、刺された男性の年齢は二十歳って書いてあるの。……聡一さんじゃないわよね?」


「当たり前じゃん。聡ちゃんが釈放されたら恒さんから連絡くることになってるんだよ。まだ聡ちゃんは出てきてないんだから……」



その時、スカートのポケットに入れていたあたしの携帯が震えた。慌てて取り出すと



――恒さんからの着信。




ずっと心待ちにしていた電話なのに


とるのが怖かった。



大丈夫、きっと聡ちゃんが釈放された知らせの電話だよ。そう自分に言い聞かせて、通話ボタンを押した。