私の飼っている小鳥は、とっても気難しいのです。

ちっちゃくて、生意気で、ちっとも可愛くない。



時に、だんまり。

何があっても口を開きません。
辛くても、悲しくても、なんにも言わないのです。
「大丈夫?」と聞けば、「大丈夫。」と返す。
オウム返しの連続。
本当のことを言えばいいのです。
言わなければわからないことなど、腐るほどあるのですから。

けれど何があっても、だんまり。




時に、嫉妬。

私の小鳥は嫉妬深い。
くだらぬことにやきもちを焼き、ずっと苛立っているのです。
仕舞いには、じたばたと羽を動かし暴れる始末。
そしてその後
「寒いよう。」
と抜け落ちた羽を見つめ、言うのです。
だから私は
「馬鹿ね。自分がじたばたと暴れるからではないの。」
と言ってあげると、しょぼんとして背を向けます。
自業自得。

深い深い、嫉妬。




時に、憂鬱。

まるであやつり人形の糸がプッツンと切れたように、だらんとして目は虚ろ。
「何かあったの?具合が悪い?」
と聞けば
「放っておいて。」
と素っ気ない言葉。
けれど何も言わずに放っておけば
「一人にしないで。」
なんて身勝手な言葉。
そんなに辛いなら、鳥かごから出て行ってしまえばいいのに。

それは避けることのできない、憂鬱。




ここにいては辛いのだと思い、私は鳥かごから小鳥を放してあげました。
私の小鳥は閉塞と束縛が嫌いです。

しかし、小鳥はまたかごの中に帰って来ていました。




気難しくて、心が読めない小鳥。

私はこの先ずっと、この小鳥と共に歩まなければならないのでしょう。



けれど、もう、空に放してあげる気はありません。


それはきっと



私が小鳥のことを好きだからなのでしょう。






さあ、共に歩みませう。
大空へと続くこの階段を。


さあ、共に抜け出しませう。
この息苦しいコンクリートの森から。


さあ、共に歌いませう。
愛と自由と平和の讃歌を。