ゲイ(Gay)。

つまりは男性同性愛者であるということ。
そういうことに全く興味の無い私でも、そのくらいの単語は知っていました。

その日の夜はまさに腑抜け状態で就寝。
もう何も考えることができませんでした。



 次の日の朝、朝食を済ませようとリビングに行くと、そこにはすでにサボの姿は無く置手紙が一枚。


『バイトがあるんで行きます。昨日はどうもありがとう。』


毛布もきちんと畳んであり、結構律儀なようです。

サボが妙な言葉で私を惑わすものですから、今日は朝から気が重くて仕方がありません。
けれど私はあまり信用はしていませんの。

昨日のことも私をからかう為に言ったのでしょう、と自分に言い聞かせました。


ヘアースタイルを考えるのも億劫。
何も浮かばずにただドレッサーの前でぼんやりと座っているだけ。

これ以上座っていても埒が明かないと思い、髪は結わずにそのままにしました。




しかしサボがアルバイトをしているというのを聞き、またしても謎が深まります。

私は両親とは別々に暮らしているものの、生活費は貰っています。
もちろん水高熱費も支払いはお父様任せ。


なのにサボはアパート住まいでアルバイト。

挙句の果てにガスと電気がストップ。

やはり気になって気になって仕方がありませんでした。