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第四章「惹かれ者の小唄」
side-稲葉圭一


 気まずかった。

 すぐに篠塚に置いて逃げたことを詫びようと思ったのに、年が明けても出来ずにいた。

 何度も篠塚からのメールや着信があったが、返信する勇気も電話に出る勇気も持てずにいた。

 情けない。

 置いてけぼりにされた篠塚が、一人で水無瀬たち剣道部員の嘲笑を受けていたのかと思うと、いたたまれなくなる。

 篠塚に嫌われた。

 そのことを確認したくなくて、俺はまた逃げている。

 おかげで、冬休みの間中もんもんとし続けるはめになった。

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