まず初めに、最後までこの作品を読んでくださってありがとうございました。
頭の中で描いていた時間を含めたら、Bitterに3年以上費やしたことになります。
もちろんマイペースな執筆のせいでもありますが(笑)
おかげで私はこの物語を何度も見つめなおし、作品と共に成長することが出来ました。

このお話は実話ではありません。しかし私は時には麗として、時にはカナとして、ちょくちょく顔を出させていただいています。
「何を美しいと思うかが、生き方を決める」
そんな言葉を耳にしたことがありますが、
どうしようもなく傷ついていた高校時代、私は初めの麗のように「儚いものこそ美しい」という価値観を持っていました。
そう思うことで、自分の弱さを正当化し、紙の中で嘆いてばかりいたのです。
口では強くなりたいと言いながら、すすんでその繊細すぎる世界に身を浸していました。そしてそこに執着していました。
そんな私は、夢への一歩を踏み出して、こうしてこの本のあとがきを書いています。
未だにしょうもない部分はたくさんあるけれど、こうして地に足をつけて立っています。
私が変わっても、周りの美しいものは相変わらず美しくて安堵しています。
支え続けてくれている家族に、改めて感謝したいと思います。
当時、真っ暗な世界から家の扉をあけると、洞窟の中でろうそくを灯したような、柔らかい光に包まれました。
「ただいま」の声色一つで何かあったと察して、夕食で私の好きなおかずを出してくれたり、くだらない冗談で笑わせてくれたり。
私がどんな態度をとろうと、途切れることなく愛を伝え続けてくれました。
家族の笑顔に触れるたびに思います。この世に「絶対」なんてものがないとしても、限りなくそれに近いところに、この家族の絆があると。